南の島のフィニッシングスクール

韓国の食

元気の元と心地よい適度なお節介の様子を土産話に

タイムス料理講習会で韓国料理を紹介することになった。韓国料理を学んだことはあるものの韓国へ行ったことがない。急ぎ韓国行きの航空チケットを手に入れ、夫と二人ソウルへ向った。目的は韓国料理を食すること、韓国の人々の生活にふれることである。初日に訪ねたのは宮中料理研究家で重要無形文化財にも指定されているという黄慧性先生の宮中料理の店「チファジャ」。
  韓国料理というとキムチや焼肉のように唐辛子やにんにくのきいた強烈な味を想像しがちであるが、伝統の宮中料理は素材の持ち味をいかした淡白で上品な味わいであった。例えば九節板という沖縄の東道盆に似た漆塗りの器に人参の赤、卵の黄、野菜の緑、シイタケや肉の黒、イカ・竹の子の白と五味五色を盛り合わせた料理。それをヒラヤーチーのような皮で包んで食べるのである。その皮は直径5cmほどで大層薄いのだが、それがまた数枚ごとに五色に焼き分けている。その丁寧さにびっくりするとともに彩り美しい料理の数々に何度感嘆詞を発したことか。時間や労を惜しまない宮中料理ならではの味を十分に堪能することができた。 
  翌日は庶民の料理をということで市場の屋台や大衆食堂などを廻ることにした。まず朝食に長漢坪駅近くの食堂で牛臓物の煮込みと豚背骨の煮込みをとったのだが、丼いっぱいに肉、臓物、背骨、野菜が入っている。それに数種のキムチと生野菜がついてきた。韓国の人たちは朝からこんなにボリウムのある食事をしているのかとホントに驚いた。お昼には観光地化したといわれる南大門や東大門市場を避けて広蔵市場へいった。牧志の公設市場界隈を大きくしたような市場で人出が多い。しかし喧騒ではない。野菜や肉・魚・キムチを売る店の前の通りに屋台が何十軒と連なっている。主のおばさんたちが韓国語でしきりに声をかけてくる。「食べていきなさい。美味しいよ」とでも言っているのであろう。海産物の屋台で穴子やホヤ等をつまみに韓国ビールや濁り酒を飲み、隣の屋台からチジミや豆腐を運ばせて食べた。次の一軒でスンデと豚頬肉と冷麺を、そして市場のはずれでは紙袋の中のイチゴをほうばりながら夕食に行く店のことを考えていた。
  短い日程だったが韓国の人々の元気の元と心地よい適度なお節介の様子を土産話に持ち帰ってきた。講習会では料理と共に鮮度のいい韓国の話しができたらと思っている。

                              沖縄タイムス「唐獅子」欄掲載(2002年5月28日)