南の島のフィニッシングスクール

お茶と子供たち

子供たちは茶筅をふり、お茶を点てるのが本当に楽しいらしいのです

 金曜日の三時を過ぎる頃、学院に小さなお客様達がやって来ます。知念小学校の子供たちです。
  子供たちが来るようになったいきさつです。
  以前、知念村文化財愛護少年会の子供たちに茶道講座をしたのです。一通りの茶道の話をしたあと、グループに別れてお茶を点てさせました。お茶を点てるのがよっぽど嬉しかったのか多い子は7杯もお代わりをするほどでした。そして一人の子が私の手を握りながら目をキラキラ輝かせて「また、きていい?」と聞くのです。「いいですよ、またいらっしゃい」と答えました。すると、翌日から列をなして来るようになったのです。子供たちのたわむれ、すぐに飽きてしまうと思ったのですが、毎日来るのです。それも新しい友達をつれて来ては自らお茶の点て方を教えています。これは大変、子供たちは日に日に増えだしたのです。そこで子供たちと相談して金曜日の午後だけということにしました。
 ある日たてこんだ仕事があって「今日はお菓子だけね」とお菓子をやって帰したことがありました。その時、淋しそうな子供達の後姿を見て、これはいけないことをしたと思い、子供たちをむげに追い返すようなことは止めようと心に決めたのです。私の都合と子供達の都合はかみ合わないことは当然あるでしょう。しかし子供たちが今お茶を飲みたいと思う気持ちとは関係のないこと。私は、ただ湯を沸かし、お茶とお菓子を用意するだけではないか。私ができない時は学生達に頼もうと。
  8年が過ぎました、当時の子供たちから次々と引き継がれて、今では数代後輩の子供たちがやって来ます。 子供たちは茶筅をふり、お茶を点てるのが本当に楽しいらしいのです。そして、学院をいつもとは少し違う空間でちょっとお行儀良くしなくてはいけない所とも思っているようです。
  茶道は五感のすべてを豊にしてくれます。頭ではわかっていましたがそれを実感させてくれたのは子供たち。子供たちは体全体でお茶の良さを空気のように自然に感じ取っているようです。

                                  沖縄タイムス「唐獅子」欄掲載(2002年8月6日)