南の島のフィニッシングスクール

自ら伸びる力

子供たちは学校や塾での「学びの時間」は増えているのに、生きていくために必要なことを身に付ける「くらしの時間」が減っている

 先日「ひろがれ弁当の日in沖縄」と題した講演会とシンポジウムが開催され、コーディネーターとして参加しました。
  「弁当の日」と聞くと多くのお母さん方は「面倒なことだ」と思いになることでしょう。
 でも、 どうぞご安心を、この弁当の日は「子供が作る弁当の日」なのです。
  今の子供たちが学校や塾での「学びの時間」は増えているのに、生きていくために必要なことを身に付ける「くらしの時間」が減っていることを心配した香川県の元小学校長、竹下和男氏が始めた運動です。5年生、6年生には年に数回の弁当の日がやってきます。子供自ら献立を決め、買い出し、調理、後片付けをするのです。弁当について先生も親も批評や評価をしないということが約束です。それでもお母さんは子供が包丁を持ち、火を使うのは危ない、自分が作った方が早いなどと思い、つい手が出てしまいそうになります。
  でも我慢するのです。子供たちも初めのうちはお母さんに手伝ってもらっていても回を重ねるにつれ自分の力だけで作りたいと思うようになってきます。まずは子供に「自ら伸びる力」が備わっていることを信じることです。
  そして、だまって見守っているうちに、お母さんはこの弁当作りを通して子供たちに両親や周りのものに感謝する気持ちや優しい気持ちが生まれていくことに気づくのです。
  学院でも16年来、学生に食事当番を課しています。一人で作ること、評価はしないことが方針です。放課後は当番の学生が残って翌日の昼食の準備をしますが手こずって夜の7時、8時までかかる学生もいます。でも私は手伝いたいのを我慢してジッと待つことにしています。
  翌日、クラスの皆がおいしそうに食べる姿を見てようやく当番の学生はホッとします。4月に入学した学生たちの学びも8カ月が過ぎ、今一人一人が成長している手ごたえを感じつつあります。


                             琉球新報「南風」欄掲載【2010年12月6日(月)】