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おいくつですか

20代は美しく、30代は逞しく、40代は賢く、50代は豊に、60代は健やかに、70代は和やかに、80代は愛らし、く90代は再び美しく燻し銀のように

 「おいくつですか?」
と問われて
 「いくつに見えますか」と応える。
  相手が一歳でも若く言おうものなら大層うれしくなるのが女性心でしょう。 先日、「沖縄の食文化」について講演の依頼があり岡山県倉敷市へ出かけました。その講演の終了後、会場から豚肉やゴーヤなどの料理法の質問と並んで「先生はおいくつですか」という質問がありました。私は「1950年生まれの52歳です」と答え、続けて「私は年を重ねることを尊いことと考えている。そして、一日一日生きていくということは厳しい世の中で容易なことではないが、年令にふさわしい年の重ね方をしてきたかを自分に問いかけながら生きたいと思っている。」とお話ししました。
  年令を自分自身への勲章のように考えるようになったのは恩師である翁長君代先生の影響が大きい。先生は山形県のお生まれですが沖縄出身の翁長俊郎先生と結婚して晩年まで沖縄に暮らし、沖縄のために働いた方でした。その先生が台所で洗い物をしていると茶の間から夫と娘の会話が聞えてきたそうです。 「お父さん、沖縄にはきれいな人がたくさんいるのにどうしてお母さんと結婚したの」という娘の問に耳をすましていると「お母さんの笑った顔がとても可愛かったからだよ」とご主人が答えてくれたのにホッとしたとお話しになったことがありました。
私が教えをうけたのは先生が60代から80代にかけてでしたが、毅然とした中にも優しさが溢れ、その年代の女性としての美しさとともにお人柄が偲ばれたものです。
  先だって私ども学院の学生への講話で興禅寺禅堂の崎山崇源老師が「20代は美しく、30代は逞しく、40代は賢く、50代は豊に、60代は健やかに、70代は和やかに、80代は愛らし、く90代は再び美しく燻し銀のように」とお話しになったことと思い合わせ、年を重ねても翁長先生のように美しい女性でいたい、そして燻し銀のように風格のある人生を生きたいと思うのです。

                               沖縄タイムス「唐獅子」欄掲載(2002年5月14日)