南の島のフィニッシングスクール

沖縄がお手本

「先生、味を見てください」とさしだされた器にはティビチに昆布、大根が入っている。ティビチの汁だ。遠い雪国で出会った沖縄料理

 「百歳への挑戦」をスローガンに掲げて健康づくりに取り組んでいる町がある。
福島県の人口一万人ほどの西会津町である。日本の中で寿命の短い地域といわれる東北地方。その中にあって西会津町は福島県下90市町村のなかでも町民の平均寿命が短く、ワースト3にあげられていた。10年も前のことである。
  町は健康づくりに取り組むことにした。
 まず、琉球大学医学部の協力を得て町民を対象に成人病疫学調査を実施した。その結果、 雪国の生活環境に基づく暖房などの住環境、塩分が多く肉類の少ない食事に問題があることが明らかになった。そこで日本一の長寿県である沖縄の食生活を学ぼうということになり、以来、食生活改善推進員のグループが平良市の皆さんと交流を重ね、沖縄の料理を学んでいる。
  私も沖縄の食事についての講演をする機会をいただいているが、そのご縁で西会津町の雪国祭に招待をうけて行ったことがある。2メートル以上もあろうかという雪積に驚きながらも、なれない雪道を転ばないように祭会場に向った。会場では20畳以上もある大きなかまくらの中にシンメーナービ程の大きな鍋が2つ並んでグツグツと湯気をたてている。祭に参加する町民のために炊き出しをしているところだった。
  「先生、味を見てください」とさしだされた器にはティビチに昆布、大根が入っている。ティビチの汁だ。遠い雪国で出会った沖縄料理に嬉しく思いつつも、町民の食事の改善に日々努力なさっているであろう関係者のご苦労を思い胸があつくなった。聞くところによると、最近では町民の平均寿命は福島県下で16位に躍進したそうだ。
  一方、西会津町が手本とした沖縄県はどうだろうか、長寿県あやうしの声がしきりである。
沖縄の食生活は豊になったというけれど、その内実は貧しくなっているような気がしてならない。
  「すべてにやさしい健康のまち にしあいづ」の理念のもと、町づくりにひたむきに取り組んでいる西会津町に学ぶことは多い。
                               沖縄タイムス「唐獅子」欄掲載(2002年7月23日)