南の島のフィニッシングスクール

沖縄の野菜たち

沖縄には三つの青があります。空の青、海の青、そして野菜の青です

 「調味料はそれだけですか?」
  あまりにも簡単すぎる料理にあ然としたプロの料理人の質問でした。
  4、5年も前、東北のある県でレストランのシェフや板前の皆さんを対象にしたゴーヤー料理講習会での話です。 ゴーヤーの使い方を知らない人も多く、つぶつぶの部分を皮むきでむき、ワタと種が出てきたところで「どこを食べたら良いのでしょう?」という話しもあったころでした。
  プロの料理人の前で刻んだだけのゴーヤーを炒め、塩で味付けするだけのチャンプルーを作るのはあまりに簡単すぎて気恥ずかしいこともあったのですが、そのときの第一番目の質問が冒頭の「調味料はそれだけですか?」だったのです。
  沖縄料理は複雑な調味料を使い、豚肉たっぷりで、脂っこく、味の濃い料理だと想像していたのでしょう。しかし、試食の後「野菜の味がはっきりしている。素材の持つ力ですね」と驚きの声があがった時の嬉しさは忘れられません。沖縄野菜の持つ底知れない力を感じた瞬間でした。 沖縄料理というと豚肉が強調され、緑黄色野菜の消費量が全国平均よりはるかに多いことはあまり知られていません。 沖縄ではきゅうりやレタス、ほうれん草等の一般的な野菜の他に、長命草やヨモギ、苦菜やゴーヤーなど沖縄独特ともいえる野菜や野草が日常的に食されてきました。それらは私たちの祖先が長い長い年月をかけて安全を確認し、体に悪いものを淘汰し、体に良いもの、美味しいものを選びぬいて今に伝えてきたのです。 最近の食材や料理法についての新しい情報も結局のところ千年、二千年という長い経験で得た食の知恵を科学という目で追認したにすぎません。
  先日、拙著「沖縄野菜の本」の出版祝賀会の席上、尚弘子先生が「沖縄には三つの青があります。空の青、海の青、そして野菜の青です」とお話し下さいました。 太陽の恵みをいっぱいに受けて青々と育つ沖縄の野菜たち。その味や香りが沖縄の料理と共にこれからも受け継がれていってほしいものです。
                                  沖縄タイムス「唐獅子」欄掲載(2002年7月5日)